月刊「園芸世界」のご案内

月刊園芸世界3月号

月刊 《園芸世界 3月》

CONTENTS

  • 今月の特選品  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
  • 庭を造ったひと、訪れたひと 横山正 ・・・・・・・・・・・・3
  • 特集:幕府使節団が持ち帰った園芸植物(3) 田淵誠也 ・・4
  • 切手樹木誌 羽賀正雄 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
  • 隔月連載ぐるり世界の園芸 森和男 ・・・・・・・・・・8
  • 対決!園芸文化人 平野恵 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
  • 春子の花の旅日記 桐原春子 ・・・・・・・・・・・・・・・・12
  • 真・花の肖像 藤井昌治 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
  • 花野彷徨にしひがし 田代道彌 ・・・・・・・・・・・・・・16
  • 私の植物滾々録 立花吉茂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
  • 連載小説メダカ館 和泉克雄 ・・・・・・・・・・・・・・・・20
  • 本の花園 柳沢正臣 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
  • 今月のスペシャルセール  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

■庭を造ったひと 訪れたひと39
ピノッキオの故郷の庭/横山 正

イタリアの中部、ルッカの東北東16キロほどのところに、コッローディという小さなまちがある。ここは『ピノッキオの冒険』を著したカルロ・コッローディが少年時代を過したところで、この庭園のすぐ下方の谷にピノッキオの博物館がある。いまは館も庭も地方自治体の所有になっているが、カルロの生きた19世紀にはまだそうでは無かったから、少年の彼がこの庭園を見物できたかは定かでない。でもイタリアには大庭園の持主が庭園を公開する伝統があったから、幻想に満ちたその世界を見て回り、その印象が少年の心に深く刻み込まれた可能性はある。庭園の左隣りにあるガルゾーニ家の領主館は17世紀前半の建設で、それにすぐ引き続き庭園の造成が始まった。17世紀半ばにはテラスの造成などが終わり、その世紀の末までに庭園はほぼ完成を迎えていたようである。

■特集:幕府使節団が持ち帰った園芸植物
(3)万延遣米使節団<前編>/田淵誠也

ヨーロッパ各国を巡り、様々な園芸植物の種子、チューリップやヒヤシンスなどの球根を持ち帰った文久元年(1861)の遣欧使節団に先立つ1年前の万延元年(1860)、日米修好条約の国書を携え、アメリカ大統領と謁見した遣米使節団も数々の園芸植物の種子を持ち帰っていた。1860年2月1日、使節3名、請役人17名、従者51名、賄方6名の計77名の使節団を乗せたアメリカ軍艦ポーハタン号は横浜を出航した。使節団は様々な西洋体験と、たくさんの文物と共に米軍艦ナイアガラ号でニューヨークを発ち、9ヶ月に及ぶ日本人として初めての世界一周の航海を終え品川に到着した。使節団員には花や植物に関心を持つ者が多く、その日記中に訪れたサンフランシスコの海軍造船所長官宅、ホワイトハウスの庭園などで見た具体的な花に関する記述を多数残している。副使の村垣範正はサンフランシスコで江戸の留守家族への手紙に、その日摘んだ珍しい草花を押し花にして手紙に添えた。団員中、三人の使節に次ぐ四番目の地位(身分)にある勘定方組頭、森田岡太郎清行(もりた・きよゆき)もそうした一人で、ハワイ、パナマ、アメリカ等で採集した押し花帖『異域采』を残した。

■隔月連載:ぐるり世界の園芸
日本山草史(6)/森 和男

明治の頃、二人の青年が栃木県宇都宮の旅館で一夜語り明かしたことから、近代に於ける日本の山草趣味の夜明けが始まる。ひとりは栃木県日光に住む五百城文哉という画家、ひとりは東京に住む法学士の城数馬である。
『園藝界』の第一年第三巻明治37年12月8日発行に五百城文哉の「高山植物園の由来」という文が載せられている。五百城文哉談としているので五百城文哉を取材したものと思われる。書出しは「ただ今私の高山植物園には、600種以上の高山植物を植えてあるが、私が斯様な道楽に手を出し始めたのは今より10余年以前で、その頃宮殿下などが、避暑のため毎年御来晃あるに就いては、日光町より何かお慰めに献上したいとあって、取り敢えず私に写生画を頼まれたのである。」五百城文哉は結果、日光に自生する山野草の絵を描いて献上することに至り、そのため採集、培養を試みているうちに、2〜3年でひとかどの山草通になるに至ったとしている。

■季節連載:春子の花の旅日記
アフリカの旅(1)/桐原春子

2009年10月13日より20日まで南アフリカ、ジンバブエ、ボツワナの旅を満喫してきました。ジャカランダが咲く風景は世界のあちこちにありますがプレトリアこそ私が長年見たいと思っていた風景です。それだけに、紫色の街路樹の並木がはてしなく続く風景には、我を忘れて感動。花色はラヴェンダーによく似ていました。
プレトリアからケープタウンへは空路2時間10分のフライト。着いてすぐに世界遺産のカーステンボッシュ植物園に出かけました。テーブルマウンテンの南側の斜面にある、528ヘクタールという広大な場所に、25000種の植物が育つ植物園。26のセクションに分かれています。翌朝、快晴で風もないのでテーブルマウンテンへ。車で移動中、思ったとおり道の両脇にピンクの花が…。センティッド・ペラルゴニウムです!車を降りて、ケーブル乗車の場所で辺りを見回すと、あちこちにピンクの花。ケーブルに乗ってからも、ピンクの茂みになっている状態が見られ、ケープタウンにゆっくり滞在してこの山に登りたいと切実に思いました。

■毎月連載:花野彷徨にしひがし(72)
越後弥彦山周辺の早春の花/田代道彌

ひところ良寛の書に親しんで、新潟県の海岸にその歌碑や句碑をたずね歩いたことがあった。そこは海の向うに佐渡が大きく横たわって見える海辺で、地名で云うと岩室・弥彦・寺泊・出雲崎・柏崎などである。雪国とは云え海に近く山もまた低いから、意外に春の訪れは早くて、たとえばこの地方で雪割草と呼ばれるオオミスミソウやキクバオウレンなどは、毎年3月中旬から咲きだすのである。
このオオミスミソウに対して、本州や九州の太平洋側山地にはミスミソウが分布する。近似種が太平洋側と日本海側で分布がこのように対立するものは少なくない。思うに冬期に乾燥の激しい太平洋沿岸山地と、冬は深い雪に包まれて完全に乾燥から護られている日本海沿岸山地と、越冬の姿ひとつを見てもこのように著しい差がある。これら対立し合う各種について、これまではそれらの祖型が日本に入ってからそれぞれに分化したように説明されてきたが、それが全てではないように観察される。

■連載小説:メダカ館(49)/和泉克雄

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